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コンサートなどイベントを成功するために(企画から宣伝、運営まで)


このページでは、自分たちのようにお金のない団体が、ゼロから出発し、イベントを成功させるために必要なことを、流れに沿って、話していきたいと思います。

個人的な備忘録的側面もあるので、気が付いたことは、時々加筆していきたいと思います。

2020年新型コロナウィルスの影響で、このサイトの内容も修正、加筆する必要が出てきたため、「ポストコロナの公演制作」と題して、NOTEにて公開、不定期で更新していくことにしました。基本的なことに変わりはないと思っていますが、この荒波の中、今後どうしたらいいか考えているようでしたら、そちらもご覧ください。


フラメンコのイベントをベースに考えていますが、フラメンコ以外のイベントでも参考になるとおもいますし、初めてコンサートを開く人にとっても参考になると思います。

ただ、「成功」といってもいろいろあると思うので、ますは、「成功」について定義しておきましょう。

「成功」といってもイベントの内容、団体の方針などによって、いろいろだと思います。

ここでお話しする「成功」とは・・・

1.ホール代、出演者へのギャラ、宣伝広告費、その他、関わっている人すべてに「最低限のお礼」を差し上げ、自分たちの活動費もまかなうことができる。
2.出演したアーティストもいい演奏ができたと実感し、きていただいた一般のお客様(知人、友人は除く)にも満足していただく。
3.使用したホールやライブハウスのオーナー、スタッフも「何かイベントがあれば、一緒にやりたい」と好感をもつ。

これをもって「成功」と定義します。
というわけで、成功したとしても、「ぼろ儲け」はしません。(笑)

また、一回だけ大きなイベントを開催し、家族、知人、友人など
多くの方々にお越しいただくのも「成功」と言えますが、

自分たちの場合は、そうではなく、繰り返し開催し、
少しずつでも一般の来場者を増やすことを目標とします。

それでは、順をおって話していきましょう。

なお、実際にヒラルディージョでは公演制作のお手伝いもしていますので、そちらを希望される方はイベント・サポート(フラメンコなどの発表会・コンサートなど公演制作のお手伝い)をご覧ください。

1ー1、企画
まず、どのようなイベントをやりたいのか?から始まりです。
方向性やイメージをメンバーなど関係者と共有しておくのは、大事なことです。

企画を進めていくうえで、無理な計画は、失敗の原因になります。ただ、何が無理な計画か気が付いてない場合もあるのですが・・・。よくあるのは、絶対にはずせないことを妥協をするとそれが失敗の原因になります。

実際、せっかく会場を押さえることができたから、見切り発車で「なんとかなるだろ」と始めたが、泥沼へ・・・。そして終演後、空中分解してしまう団体を見てきました。まぁ空中分解したのが、終演後だっただけ、まだましだったとも・・・。

無理だと思ったら、とりあえず企画段階で、延期することも勇気ある決断だとおもいます。

1ー2、公演制作と責任者について
これから話を進めていく内容は、おそらく「公演制作」といいますが、文字通り、公演の企画から準備、宣伝告知活動、お金の管理、当日の運営、終演後の総括まですべてをやることになります。

そして、公演の企画制作の責任者が「プロデューサー」。舞台全般に責任を持つ役職が、「舞台監督(ディレクター)」、公演の進行の責任者が、「ステージマネージャー」となります。
ただ、そのあたりの役割分担は意外とあいまいですし、それほど大きくない団体、公演では、いろいろ掛け持ちをしたり、一人で担当することもできるかと思います。最低でも一人、このようなホールとの打ち合わせ、当日の進行などを指示する責任者は必ずおいてください。

もちろん、最初は、人もいない、お金もない、ノウハウもないでしょうから、みんなで協力し合うことは当然ですが、やはり出演者は、「芸を磨く」のが一番の仕事で、

基本的に、出演者が公演の制作に大きくかかわることは、避けたほうがいいと思います。特に、出演者が舞台監督を兼ねることは出来ません。

ときどきいるのですが、初めてこのようなイベントを企画する方で、その必要性を全く感じず、だれが責任者かだれもわかってない。全員が出演者。そんな状況があります。

ホールとの打ち合わせでも、ホールからの質問の意味すら分かってないなど、笑うに笑えないなんてことも・・・。

私自身が受けた相談でも、公演の一週間前になってから「舞台監督の必要性を全く知らず、今知ったのですが、どうしたらいいですか?」などという、ビックリするようなものがありました。

そうなると、ホールの方々、スタッフなども非常に困り、イベントの運営にも支障をきたします。もし、だれもわかる人がいないのであれば、多少のコストがかかってでもどなたかわかる方に舞台監督をお願いして、いろいろと教えてもらってください。

ある程度分かってから、自分たちだけで運営したほうがいいと思います。

2-1、会場の特徴など
どのような企画をやりたいかによって、開催場所も決まってきます。会場の定員も重要ですが、その会場が、どのようなジャンルに適しているか、いろいろ特性があるので、見極めましょう。

たとえば、クラシック専用のホールでフラメンコは適しません。無理ではありませんが、ダンサーの思い描くような演出はできない可能性が高く、想定より出費がかさむことが多々あります。

会場をおさえる時期についてですが、会場の予約開始時期にもよりますが、小さなライブであっても、半年前にはおさえて、準備をはじめることになると思います。

また、会場のレンタル料に何が含まれるのか、付帯設備の費用はどのくらいかも、意外と見落としがちなところです。

いわいる会場費が、純粋に会場をレンタルするだけの料金なのか?その中に音響、照明スタッフも含まれるのか?会場のスタッフがどこまでやってくれるのか?確認する必要があります。

2-2、会場の選定について
会場を探したことのある人ならわかると思いますが、立地のいい会場、利用料金の安い会場、土日のいい日程など、いい条件では競争が激しくなかなかおさえることが大変だと思います。

これらすべての条件がそろうとなると宝くじに当たるぐらいの幸運がないと(笑)・・・

ですので、そこにどうしても妥協が入ります。立地を妥協する、日時を妥協するなどなど、そしてそこが失敗の原因になる場合があります。

おそらく会場の利用については、申込初日に抽選会になることが多いようです。希望する日程が取れなかった場合は、残念ですがあきらめたほうがいいと思います。

もし、いつどこでやっても、必ずきてくれるファンがいたり、予算の心配をする必要がないのであれば別ですが、そうでないなら、会場の立地、日程は妥協しないほうがいいでしょう。

2-3、開催時期について
いつ開催しても必ず来てくれるファンがいれば別ですが、開催する日程、時期もできれば注意が必要です。イベントを企画する人はイベントカレンダーなどを定期的に注視し、なるべくビックイベントなどとは被らないようにしています。

また、夏季の開催は、猛暑、台風など来場していただく上でのリスクが高くなるので、できれば避けたほうがいいかなと思います。実際、台風で翌日電車の運航停止決まり、中止となった公演もありました。

さらに、補助金も意外と影響が大きいです。直接受ける受けないは関係なく、これまで3月は、芸術関係の補助金の期限となる為、イベントが多くなる傾向があります。当然補助金が入っているイベントは、手ごろな入場料になります。

そうなると、まず多くのイベントと競合する可能性が高い上、さらに補助金を受けないイベントは、競合相手に予算的にも不利であることになります。厳しいですよね。

ここ最近の影響としては、文化庁の補助金AFFが、2021年12月末までに開催することが必須要件となる為、12月はイベントが目白押しで、客の奪い合いが発生しています。

その結果、AFFなど補助金を受けずに頑張っているイベントが、特に苦境に立つという弊害が起きています。

ですので、あらかじめそういった予測が立つ場合は、時期をずらすことをお勧めします。

2-4、会場の付帯設備
なるべく予算を抑える上で重要になってくるのが、会場の付帯設備です。

よく会場を押さえてから、イベントをやりたいと相談を受けるのですが、特に古い公会堂などの会場の付帯設備を調べてみると何もない!などということがあります。そうなると必要なものをレンタルする必要があり、レンタル代と運搬代がかかります。

当然、予算も・・・

ですので、会場を決める際、どのような音響機器、照明機器が必要で、それが会場の付帯設備リストに載っているか、事前に調べておくことをお勧めします。

2-5、音響スタッフ、照明スタッフ
クラシックのコンサートであればそれほど問題ありませんが、それ以外のコンサートでは必ず音響スタッフと照明スタッフを用意する必要があります。これについては、ホールによって対応が違います。ホールのスタッフにお願いできる場合もあれば、外部の業者にお願いする場合もあります。

もちろん、公演内容、演出によって、必要なものが大きく変わってくるので、それらを明確にしたうえで、申し込む前にホールでどの程度対応していただけるか確認をしてから、そのホールを利用するか判断した方がいいでしょう。

どのような公演内容かによって、必要な人員は変わって来ますが、なるべく予算を押さえたければ、ホールのスタッフにお願いすることをお勧めします。

ただし、凝った演出で、いろいろと注文が多くなる場合は、外部の業者にお願いする必要が出てきます。もちろん予算もそれなりにかかってしまいます。

また、余談ですが、車でしか行けないような場所にあるホールの場合、駐車場を整理するスタッフもこちらで用意しないといけない場合もあります。

3ー1、出演者へのオファー
すでに企画段階で話してはおきますが、会場が決まった段階で、正式なオファーとなります。

この時、出演料の話しとなります。その金額にリハーサル代、交通費など、どこまで含まれるのか、はっきりとさせる必要があります。

あと、忘れがちですが、本番中に写真、録音、映像などを記録する場合、それらををどうするか、話しておいた方がいいと思います。

3ー2、初めての方へ出演内容の確認
特に、初めて出演を依頼する場合、公演の趣旨や内容、ホールの概要、出演者などについては、確実に伝えておく必要があるかと思います。

これらの内容をなんとなく曖昧なままに依頼すると、あとあと行き違いが発生する危険性があります。また言った言わないのトラブルを避けるためにも、メールや書面にのこる形でやり取りするのがいいでしょう。

以前出演をお願いしたアーティストで実際あったことなのですが・・・。コンサートの趣旨、条件などをメールでお伝えし、了承をいただき、チラシ制作時には内容を確認していただき、リハをやったにもかかわらず、本番1週間前に「いったいどういうコンサートなの?」という、びっくりするような質問を受けたことがあります。

まぁ、これは極端な例かもしれませんが、相手は意外と伝えたはずの内容を把握していません。

多くのアーティストと話をしていると、「っあ、この人、メールを最後まで読んでないな」とわかる時があります。こんな人と話を進める場合は、要注意ですね。

3ー3、本人以外が窓口となる場合の注意点
また、出演する本人以外からの出演希望があったり、いろいろ話を進める相手が本人ではない場合、注意する必要があります。

家族、知人などから出演希望や協力の打診が来て、話しを進めて、いざ本人にあったところ、まったくやる気がなかったり、高圧的だったり、ふてくされていたりする時があります。

本人の意思を確認せず、周りが動いてしまった結果なのでしょうが、こちらとしても、「話しがちがうよね」という形で、白紙に戻す場合もあります。

特に、本人に確認をせず、周りがよかれと思い積極的に動いていても、自分の知らない間に話が進んでしまうことで、気分を害する時もあります。ですので、まずは、本人がどう思っているのか、しっかり確認し、話し合ってから進める必要があります。

4−1、チケット料金の考え方について
イベント内容、会場、出演者によってきめるものですから、難しい問題ではありますが、価格を決定する上で、公演の収益について、どう考えるか意識する必要があります。

大きく二つに分けると

・普通に収益を上げることを前提とする。
・公演に来てもらうことを目的とし、そこから生徒募集などにつなげるので、公演自体の収益は考えない。

もちろん、その中間、会場費ぐらいは自分で負担するというのもあります。自分で自分の公演に協賛金をだすような感じでしょうか。

ヒラルディージョは収益をあげることを前提に活動しているので、ここで書いていることは、それを前提にしていますが、まずは公演に来てもらい、そこから生徒募集につなげたり、ファンになってもらい、次回の公演に来てもらうなど、公演自体を宣伝として考え、公演にかかるコストを宣伝広告費として考えた場合、当然、料金設定の基本的な考えが異なります。

これは他の商売でもよくある話で、ある特定の商品を原価割れで安く提供し、客寄せに使い、他の商品で利益をあげ、トータルで黒字にするやり方です。

4−2、通常のチケット料金について

では、普通に収益を上げることを前提にした場合のチケット料金ですが、まず、肝に銘じてほしいのは、来場者が、知人、友人、家族、生徒などではなく、一般の方々を想定した場合、結構シビアな市場原理にさらされるということです。

もちろん入場料を低額にすれば多くの方に来ていただけますが、トータルでの売り上げのアップにつながらず、収益が悪化するだけです。また他の商売とは違う点で、「芸の安売り」になってしまう問題があります。

ただ、その逆に高額にすれば来場者は減り、逆に売り上げが減ってしますことも十分あり得ます。例えば、同じ内容の公演のチケット代を1500円から2000円にあげると、間違いなくチケット売上枚数は減ります。

例えば、1500円で100枚売れてたとしたら、2000円で75枚に減ったとすとると、売り上げは変わらないですよね。ですので、少し高めに設定し、この価格で今後来場者を増やしていく考えもありだと思います。

つまり会場のキャパを考慮して「最適なチケット代はいくらか?」、「このエリアの方々は、どのくらいの金額まで許容できるか」という見極めが重要になります。しかし、「見極め」と「希望的観測(妄想)」を混同しないように気を付けてください。やる前に妄想を膨らませ、皮算用をして安心するのだけはやめましょう。

まずは、金額以上に満足していただけるパフォーマンスを提供し「次回公演もまた行きたい」とおもっていただく。このことが、大事だと思います。

4−3、自由席、指定席について
「指定席」については、チケットの管理コストが大幅に増え、チケットの値上げが必要となる。販売を一本化している場合、問題はないのですが、出演者などにも手売りをお願いする場合、だれにどの席を渡すか、渡したチケットを売り切ってくれるかなどの問題があります。

また、当日受け渡しをあまりに多くすると、当日会場が非常に混乱してしまいます。会場の混乱はなるべく避けるように工夫は必要だと思います。

当面は「全席自由」にして、当日来ていただいた順に入場していただくのが無難だと思います。

チケットの種類で「当日指定」といのがありますが、ご存知でしょうか?
当日、会場受付で座席を選ぶシステムです。

これは、絶対にお勧めしません。
簡単に考えてください。100名の方が当日座席表を見て選ぶとして、お一人30秒としても50分かかります。

会場が混乱するだけです。チケットは可能なら「指定席」で、無理なら「自由席」となるでしょう。

4−4、料金と地域性について
経験上、地域や会場によって、来られる方が許容できる金額に違いがあるようです。これは、実際に公演を重ねていく中でみつけていくものですが、まずは地域の情報誌やホールで発行しているイベント情報を参考にするといいかと思います。

どのホールも主催コンサートを定期的に開催しているとおもいますが、そのコンサートの出演者、入場料が参考になるかと思います。

また、その地域で、フラメンコであったり、タンゴであったり、そういったコンサートに行く文化が根付いているか見極める必要もあります。

コンサートの内容、料金、エリアがうまくはまると、初めての方にも多くきていただけることになります。そこを見つけることが、成功につながります。

逆に言えば、これらの中からかけるものが増えれば、それだけ失敗する可能性が高くなります。ただ、一つだけでも、飛びぬけてるもの、とがっているものがあれば、他のデメリットをカバーし、成功する場合もあります。

が・・・。本当に「飛びぬけている」か慎重に判断してください。主催者が、この出演者は、ファンがいて、「告知するだけで多くチケットが売れる」と思っていたが、やってみたら「そうではなかった」ということも多々あります。

ですから、一つだけの要素に頼らず、成功するための条件を積み上げていく必要があるわけです。

4−5、競合する低価格コンサートについて
よく横浜ではあるのですが、ホール主催の低価格(500円、1000円)コンサートがあります。他の主催者さんともよく話すのですが、これは結構な大問題で、できればやめてほしいと思っています。

プロのステージを低価格で、多くの人にきてもらい、裾野を広げるという趣旨には賛同するのですが、思惑通りにはいかないことは多々あり、お客さんにとって低価格が当たり前になってしまうようです。

ホールの関係者と話した時、低価格コンサートはすぐにソールドアウトになるのに、少し高くすると売れなくて困っている話を聞きました。自分の首を自分で絞めてしまうことに・・・。

当然、ホール主催だけに影響するだけでなく、そのホールを借りる他の主催者による公演にも影響があります。

ただ、他の主催者さんの事ですので、口を出すわけにもいかず、残念ながら、この流れは続くのでしょう。

お客さんにとって主催者についてはそれほど意識しないので、チケット価格を決めるとき、そういった要素も判断材料の一つとなります。

5-1、宣伝
収入のほぼすべてを入場料でまかなう場合、どのように宣伝、告知するかが、最重要課題であるのは、間違いありません。

イベントの開催が決まった段階で、どのようなスケジュールで進めていくか、早めに検討、実行する必要があります。

時々、他の公演の主催者さんから、ぎりぎりになって「チケットが売れてないので、公演のチラシ折込をさせて」など、宣伝に関する相談を受けますが、その段階では、実は手遅れなんです。

早め早めに計画し、もしチケットの売れ行きが芳しくなければ、こういう行動に移るなど、考えておく必要があります。

ただし、計画的にやったとしてもうまくいかないことはよくあります。上手くいかなければ、その都度、修正をしてく、変更をしていく柔軟性、最後まであがく、しぶとさも必要です。

今思いつく方法は、大きくわけると6つ。
1.通常のチラシをホールなどに配架することによる告知
2.新聞、フリーペーパー、専門誌などの印刷物、雑誌などでの告知
3.他の公演でのチラシの配布
4.定期的に郵送やメールなどで情報発信
5.自分たちでフリーペーパー、情報紙などを発行する
6.自分たちのウェブサイト、ネット上のイベントサイトへの告知、SNSなど告知
無限にお金をかけていいわけではありませんが、まったく宣伝しなければ、誰もきません。

さらに、ここ十年ぐらいの間にチラシの印刷コストなどは、劇的に下がりました。誇張抜きに一桁減りました。

また、6のように自分たちが発信主体になることが可能になりました。これは大事なことで、数十年前では考えられなかったことす。使い方によっては有効な武器になります。

つまり、昔にくらべ、格段に公演を主催するときにかかるコストが下がり、効果的に告知する武器もあるということです。

しかし、その公演の時だけ、お金をかけて、広告をのせたり、プロのデザイナーにかっこいいチラシを作ってもらっても、集客に直結しないことは、多々あります。

ポイントは「継続性」、「リンク(つながり)」にあると思っています。

また、経験上、既存の有力な有料広告媒体は、残念ながら、費用対効果として、利用価値は非常に低い結果となりました。

いくらまでなら出せるのか、あらかじめラインを引いておき、その範囲で宣伝活動を模索していき、それぞれにとってベストの方法を探っていくしかないのでしょう。

初めのうちは、どこにチラシをおけたり、どんな告知ができたり、わからないことが多いかもしれません。

とりあえずは、アンテナをはり、気にしてみてください。それだけで見つかったりするものです。あとは、ちょっとでも可能性がある限り、チラシの配架をお願いしてみて反応を見てみましょう。

お金を使わずに、いろいろ考え計画を進めていく「頭」と、うまくいかなければ体力勝負で最後まであがくような「体」が必要だと思います。

5-2、ホールでのチラシ掲載
私の経験上、開催するホールのチラシラックにチラシを配架すると、かなり高い宣伝効果があるようです。事実、ホールの受付でチケットを販売すると、チラシを見て購入する場合がかなりあります。

ホールのチラシラックをみている人とは

まず、そのホールのことを知っている、行き方がわかる、コンサートを鑑賞をしている、芸術などにもともと興味がある人の場合が非常高い。

これは、コンサートに来ていただく上でのかなりのハードルをすでにクリアしていることを意味しています。

チラシの配架すらできないホールは、集客にかなり苦戦することが予想されます。このようなホールで開催する場合は、すでにある程度の顧客を獲得してからの方が安全だと思います。

5-3、イベントの継続性について
ちゃんとしたイベントを継続して開催することは、活動を広げていくうえで非常に大事です。それによって来場者による口コミ、ウェブサイトの閲覧数、SNSでの拡散、新聞、情報紙などへの掲載など、次回公演にむけていろいろ広がっていきます。

たとえば新聞などにとって、あるイベントの投稿があったとして、それが「ガセネタ」でないか、「酷いイベント」ではないか、非常に気を付けています。例えば行ってみたら、公演のあと「新興宗教の勧誘にあった」、「マルチ商法をすすめられた」など、怖い話を聞きます。変な情報を流したら、その新聞自体の死活問題になるわけで、当たり前ですよね。

でも逆に、それが非常にいいイベントであれば、安心ですし、次もまた掲載したいと思うわけで、掲載してもらえる確率がどんどん上がります。

「また次回のイベント投稿をまってます」と言ってもらえるようになるといいですね。

5-4、リピーターについて
イベントを継続して企画していくつもりなら、やはり同じ方にもう一度来てもらう工夫が必要になります。一説によると、新規の顧客にきてもらう宣伝にかかる費用は、既存の顧客に来てもらう費用の5倍かかるとのことです。

「5倍」という数字が確かかどうかはわかりませんが、確かに新規顧客の開拓は、費用も時間も必要とします。

ですので、当日会場では、次回の予定を必ず配布し、それ以外にも定期的にイベント情報を郵送か、メールなどで発信することをお勧めします。メールアドレスや住所を積極的に収集するといいでしょう。

ただ、一番重要なのは、また次回も行きたいと思うようなコンサートであることです。っま、当然なのですが・・・。

6ー1、後援
可能であれば、後援はいただいてください。
はじめてイベントを開催する場合、自分たちはまったくの無名な存在です。

そのような時、「○○後援」とあるだけで、イメージがかなり変わります。

また、市など公共機関の後援をいただけると、宣伝なども協力していただける場合があります。

ただ複数は必要ありません。時々、箔付けのためか、目一杯いろんな名義を入れる団体がいますが、何が書いているか見にくいときがあります。そうなると意味はありません。

6ー2、他団体との協力について
自分たちの公演を告知するうえで、自分たちの力だけでは、どうしても限界があります。ですので、他の団体などと積極的に関係作りをしたほうがいいと思います。

例えばホールのスタッフや他のグループのアーティストなどと親しくなると、お互いの公演を告知しあえたり、いままでお伝え出来なかった方々への告知が可能になります。

また同じような活動をしている方々との話の中には、有益な情報やヒントがあふれています。ホールスタッフさんも同様です。無駄話を言い合えるぐらいの仲になれるといいですね。

ただし、他団体のイベント、他のアーティストの公演で、告知をしてもすごい効果があるわけではありません。公演に来る方は、その団体のファンであり、そのアーティストのファンであるわけで、他のイベント情報を目にしたとしても、よほど魅力的でないと興味はひかないようです。

ですので、チラシを他の公演で配布するにしても、少しでも興味を持ってもらえる内容であることが必要です。たとえば、チラシを配布させてもらえるとして、その公演のアーティストが、チラシの公演にもゲスト出演し、写真が載っていると効果的です。念のため注意しておくと、これは一つのアイディアであり、集客のためなら、だれでも呼べばいいというわけではありません。

7−1、集客
基本は、最適な料金で会場を一杯にすることが目標ですが、もし、チケットの売り上げがかんばしくなく、空席が目立つ場合、「招待客」などで、会場を埋めるたほうがメリットが多いようです。

ただ、無料ですから「招待客」は来られないことが多くありますので、なるべく行きたいという思いの強い方に差し上げるなど工夫が必要です。当然、将来につながる方々に来て頂くのがポイントです。

特にネットやメールで簡単に応募できると、簡単に来ません。以前、某サイトに載せたことがありますが、応募は何千件もあましたが、そのサイト経由で招待した方は一人も来ませんでした。

申し込みには、往復はがきにするなど、ある程度の手間がかかるようにして、それでも申し込みたい人のみに申し込んでもらうようにした方がいいでしょう。

チケットの割引については、お勧めしません。一度味をしめると、二度と「正規料金」で買っていただけないという可能性があります。ただ、割引があると掲載してくれる媒体もあるので、ある限定された範囲で、一度だけ計画的に割引をするというならありかと思います。

このように何らかの意図があって安売りをするなら別ですが、集客に失敗したから安くしたとか、中途半端な安売りは逆に自分の首を絞めることになると思います。

7−2、招待客について
まずは来てもらうという無料招待は、スーパーの試食に近いと思います。実際のライブがCDやDVDが違うことについては、実際に感じてもらうのが一番。

その一つの方法として、初めて使う広告ツールに「無料招待」の掲載をする手があります。

たとえば情報誌などにはじめて掲載する場合、媒体資料にはいいことがたくさん書いてありますが、その媒体に本当に求めるような集客効果があるかどうかわかりません。

そこで一度「無料招待」の掲載して、どの程度応募があるか試してみます。もちろんお金がかかってしまいますが、私はこれを必要経費と考えています。

例えば、「無料招待の広告」ですら反応が悪かったら、「通常の広告でチケットが売れる」ことなどあり得ないわけです。

ですので、価値のある宣伝媒体かわかりますし、「無料招待」で来た人が、今度は次回公演のチケットを買ってくれる場合もあります。

中途半端な割引をするより、ずっと効果のあるやりかただと思います。

7−3、無料イベントについて
一つの公演で、チケットを買った人、買っていない人(招待)がいることにより、不公平感が出るようなら、公演自体を無料にしてしまい、とりあえず来ていただくという方法もあります。また無料のイベントに出演するというのも同じ方向性かと・・・

またいつもチケットを買って、来てくれる人に「開催100回の感謝をこめ無料にしますので、ぜひお越し下さい!」というアプローチは、自分たちのことを、さらに好きになってもらえるのではないでしょうか?

無料にすると、公演情報をあつかってくれる媒体が増え、確実に多くの方の目に触れます。

新聞のイベント情報に掲載されたり、電車の中吊りにのせることができたり、いろいろなところにチラシを置けたり・・・

これらを通常の宣伝で広告料を払うと、かなり高額になってしまいます。

もちろん公演にかかる費用は自腹になりますが、その公演自体を告知目的と割り切り、その費用全額を宣伝広告費と考えるなら、このやり方はありかと思っています。実際他の商売では、このようなことはよくやっています。

当然、「無料公演」だから、来ているという方も多いでしょう。しかし、その中にはこれを機に有料公演に来てくれる人もいます。

ただし、初めて来場された方がその後チケットを購入してくれる客になってくれる可能性はそれほど高くありません。あるデータでは「5%」という数字があります。「100名のうち5名ぐらい」という数字になりますが、こちらの実感としてもそのくらいかとおもいます。

ここで重要なのは、「無料公演」だからこそ多くの方々に来てもらい、しっかりした内容の公演をお届けし、来た人が次回の「有料公演」に来てもらえるような仕掛けづくりをすることです。

8−1、運営
収入(主に入場料)と経費のバランスをどうするか、それを判断するためにも出納帳は重要です。

ただし、収入が入場料だけの場合、企画した段階で、収入は予測できたとしても確定したわけではありません。そして、予測が外れることはよくあります。特に売れないという・・・。

昔、あるプロモーターの方が、公演を開催することを「打つ」と表現していました。つまり、「博打を打つ」ことに近いと考えていたのでしょう。確かにチケットが売れるか売れないかわからない段階で、予算を決めるので、そういう一面もあると思います。

ですので、出演者の知名度、イベントの面白さ、これまでの経験から、来場者を予測し、全体の経費とのバランスはどうか?この判断が責任者の腕の見せ所です。

しかし間違っても、よほどの有名アーティストでない限り、満員を前提にするべきではありません。

満員にしたのに赤字になるような運営も絶対やってはいけません。当たり前のようですが、意外と多く目にします。これが原因で、崩壊した団体もありました。

8−2、運営上の失敗を予防するために
集客というのはどうしてもみずもので、前回チケットが売り切れたかといって、今回も売り切れるとは言えません。このような実例はいくらでもあります。

前回チケットが売り切れたので、今回は公演回数を増やしたけど、売れなくて赤字になった。

生徒もたくさんいて、日本で活動し、人気の外国人ダンサーが海外からアーティストを呼んでリサイタルを開いたが、会場の3分の1も埋まらなかった。

などなど。

ですので、ある程度入らないことを想定し、もしたくさん入ったときは、出演者へのお礼を増やすなど、何らかの安全策を講じる必要はあると思います。

9、ホール、出演者との打ち合わせ
たいていどこでも、約1ヶ月前にホールとの事前の打ち合わせがあるはずです。当日の成否にかなり関わってくる重要なことですので、しっかりした資料を作りましょう。

最低限必要な資料として、「イベント企画書」「当日の進行表」「関係者全員のタイムスケジュール」は、こちらで用意しておきましょう。

初めてイベントをやる人が、何も用意せず打ち合わせにきて、なぜかホールの人が資料を作成するとい笑い話を聞いたことがあります。笑い話で済んだからよかったものの、実は無茶苦茶な話だと理解してほしいものです。

打ち合わせ後、必要なことを追記し、資料を作成。出演者と最終打ち合わせをし、当日へのぞみます。

10、当日の進行
当日の成否は、これまでの準備次第といっても過言ではないでしょう。
事前の打ち合わせがしっかりしていると、リハーサルなどの準備も気持ちよくでき、出演者もきもちよく本番にのぞめます。

しっかりとした準備をし、それが、いい演奏につながる。

このことは、お客様に満足していただけるだけでなく、出演者、会場のオーナーや関係者にもいい影響をあたえます。

「イベントを一緒にやる?」と次の仕事をいただけたり、他の話しをまわしてもらえたりもしました。

他の仕事と基本は同じです。

また、当日のタイムスケジュールはゆとりを持って計画してください。全席自由の場合、いい席を確保したくて、お客様が開場時間の1時間前にならぶこともよくあります。その場合どうするのか、事前に想定しておくことをお勧めします。

11−1、終了後の総括
どうしてもコンサートをやっていると、「打ち上げをして、はい楽しかったね」で終わってしまうことも多いかと思いますが、

公演終了後、アンケートをチェックし、これまでのことを思い返し、データとして残し、出納帳をしめ、総括をしてください。それが次回のイベントの糧となります。

また、その時気が付かなくても、後日、データを見直すことにより、気が付くこともあります。

例えば、よくビジネスの世界では、「PDCA」という言葉を使います。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の略ですが、これを使ってみるのもいいと思います。

まあ、成功してい団体というのは、自然とやっているか、理解してやっているかはわかりませんが、こういうことを当然やっているのでしょう。

ただ責任ある立場の人は、何らかの問題や失敗があった場合、その事実をしっかり受け止める胆力が必要だと思います。これは誰でもできるわけではなく、精神的な負担もあるので、その適性がないと、かなりきついと思います。

11−2、次回への応用
これらのことを資料としてまとめ、それらのデータを以前のものと比較していきましょう。そして次回イベントを企画する際、見直していきます。この繰り返しと蓄積が、「成功」への道となります。

例えば、
同じような内容の公演を、違う場所で開催してみる。
同じ場所で、違う内容の公演を開催してみる。
曜日を変えてみる。開演時間を変えてみる。入場料を変えてみる。などなど。

このように条件をずらし、その公演のデータを比較することにより、よりよい公演制作につなげることができます。

一連の流れはこのような感じです。

ここに載せたのは、今までやってきたこと、必要なことの、ほんの一部に過ぎませんが、はじめてイベントをやる方の参考になればと思っています。

最後に、必ず成功と失敗があります。
自分のしっている東京ドームを満員にしたプロモーターの方でも、別の公演で莫大な赤字をだしたことがあるそうです。

私自身も、今自分のできるベストを尽くしたが、採算的には大怪我をしたこともあります。
採算的には成功したが、公演内容には不満が残ったこともあります。

一回ごとのイベントの成功も大事ですが、全部成功は無理だと思ってください。

一年をとおし、失敗も成功もあり、お金については通年で黒字になることを考えるべきであると思います。

それでは、皆様の健闘を!

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